2023/06/06
連載『スポーツ情報って面白い!』?/学生の手で大学野球配信が実現
試合の様子を観戦したのは球場ではありません。この日は月曜日で授業もあり、生での観戦は叶いませんでした。ではどうやって細かく説明できるのか?そうなのです。仙六の配信映像です。昨年春から試験的に開始し、今年の春季からはYahooのスポナビから全試合生配信がスタートしたのです。見逃し視聴も可能です。生配信は、昨年度は制作会社のプロの力を借りて制作しましたが、今年度は冬のオフ期間に連盟がクラウドファンディングを立ち上げて資金を調達し、その資金で機材を揃えました。そしてカメラ設営から撮影、スイッチング、実況アナウンサーまで学生の手で行ったのです。カメラ設営や配信設備の準備は技術系の東北工業大学の猿渡研究室の学生、ストライク、ボール、アウトのいわゆるSBOの画面表示は福祉大や学院大の野球部員、カメラ操作やスイッチングは工大と仙台大の学生があたりました。実況アナウンサーは私を含め、プロ経験者が軌道に乗るまでお手伝いしましたが、ゲスト解説には当該チームの学生コーチや控えメンバーが務め、試合の見どころはもちろん、グラウンド以外の選手の素顔も紹介され、より身近な選手像が浮かび上がりました。撮影を経験した学生は、「あそこはこう撮ればよかったのに」「スイッチングのタイミングが遅れてしまった」といった、プロ顔負けの感想を漏らすまでに成長し、学生にも新たな表現ステージが生まれました。今から秋季リーグが楽しみです。
連盟によりますと開幕節の4月8、9日には合計4試合で200万人がサイトを訪れたそうです。リアルタイムはもちろん、試合後でもいつでも、どこでも、世界中で仙台六大学野球の全試合が観戦できるようになったのです。遠くの保護者さんはもちろん、アマチュア野球のスカウトの方も凝視しているとのことです。学生からも「もちろん家族は僕の試合を全部見てくれています」といった声や、「上位チームだけではなく他大学にも実力選手がいて、仙六の実力が全国にアピールできることがうれしい」という声も聞かれます。人に見られるというモチベーションアップにも一役買っているようです。
大人が敷いたレールの上を学生たちの制作チームが動き出したばかりですが、いつかはすべてを学生の手で運営し、全国の大学リーグで切磋琢磨しあいながら質の高い映像や音声を作り出し、グラウンドの外でも熱き戦いが展開される日が訪れるのではないでしょうか。皆さんも仲間に加わって映像配信という新しいジャンルに挑戦してみませんか。
<スポーツ情報マスメディア学科 教授 佐藤 修 >